...

第五部・自由の値札

第26章塔はもう四つ

四座塔了

中国語の原文からの翻訳です。

第26章 塔はもう四つ

彼は棚の反対側の端に立って、その手が薬の箱を元の場所へ戻すのを見ていた。

戻すとき、音はしなかった。箱のラベルは外を向き、隣の数箱と揃えられた。その手は、揃えた所で一度止まった。指先が箱の側面から離れるまで止まり、それから引っ込められた。

彼が立っている所は薬の棚から二歩離れていた。両手はずっと体の脇にあり、何も持っていなかった。掌の一周ぶんの皮がほかより厚い。握りしめてできたものだった。

こちら側の薬の箱は、ラベルが手書きで、一枚の上にまた一枚と重なっていた。何マスかはラベルが剥がされ、白い跡が残っていた。冷蔵ケースが壁に沿ってうなりを上げていて、彼が入ってきてから一度も止んでいなかった。頭の上の一列の値札が、扉の隙間から入る風に触れられ、ぶつかり合ってはまた離れた。突き当たりの灯りは薄黄色の小さな一点で、彼の手だけを照らし、顔までは照らさなかった。彼はまっすぐに立っていた。左膝は曲げていなかった。曲げれば、まずそれが鳴る。指は冷たく、関節が少し白くなっていた。

この時間、通りに車はなかった。遠くを地下鉄が通り、音が地の底から上がってきた。ひとしきり続いては止まり、またひとしきり続いた。冷蔵ケースのうなりはその下に押さえ込まれていて、長いあいだ、音の高さが変わらなかった。床のタイルは白く、何枚かがひび割れ、割れ目に埃が溜まっていた。いちばん下の段の棚は空だった。マスごとに小さなラベルが貼られ、薬の名前が書かれていたが、中には何もなかった。

老兵はこちらを見なかった。棚から手を引くとき、手首が先に動き、指があとから動いた。署名をするときと同じだった。彼は向きを変えて戸口へ歩いた。ガラス扉に映った中で、その人の顔と一列の値札が重なり、二歩歩くと、重なりはほどけた。

彼のあの一箱も、同じように戻されたものだった。回して、側面を見て、戻して、揃える。

彼は右手を上着の内ポケットに入れた。伝票は二度折られていて、折り目は白く、角は汗でふやけて柔らかくなっていた。彼は全部は広げなかった。半分だけ広げ、親指で真ん中を押さえて、巻き戻らないようにした。

それは、ある様式の第二連だった。紙は薄く、上に「代替品購入」の数文字が印刷され、その下に型番、数量、単価、最後の欄が金額だった。金額は見なくてよかった。署名したときに見ていた。元のあの脚には、ひとりでに位置へ戻る関節が付いていて、歩くとき、その関節が小さく一度鳴った。代替品にはそれがない。代替品は一本の管と、一つの接続部と、一つの足で、下へ押しつけることしかできない。それはみな伝票の上で見ていた。彼が見ているのは、いちばん下の一行だった。承認の欄の署名は彼のもので、筆圧は上のどの字よりも重く、墨が紙の裏まで透けて、小さな点が一つずつ浮いていた。受領者の名前はその一つ上の行に書かれていて、綴りは合っていた。

その伝票が承認されたあと、あの人の脚は今のこの一本に替わった。安いほうだった。伝票には安いと書いてあった。署名したとき、彼はそれを知っていた。

その伝票に署名した日、部屋の冷房は低く設定されていた。机の上に茶が一杯あり、彼は飲まなかった。茶は冷め、カップの内側に白い輪ができた。あの人の名前を、彼は紙の上で一字ずつ見ていった。どの字も合っていた。署名のとき、ペン先は紙の上で一度止まってから、下りた。

もう片方の手が上着の外ポケットに入った。ネジはそこにあった。もうひと月近くになる。それは裏地を丸く擦り、丸の縁は毛羽立って、指で触れればすぐ分かった。彼はそれを取り出して掌に載せ、あの紙と並べた。

M6。溝にはスパナに噛まれた跡が一本あり、その縁は一周光っていた。何度もねじ込み、何度も抜いて、擦れたものだった。それはあの人の義足から外されたものだった。六つの穴のうち、替えられたのはこの一本だけで、ほかの五本より少し短く、ネジ山も粗かった。

あの一言を、彼は三度試した。

その一言とは、あの伝票に署名したのは私だ、というものだった。

言うべきなのはこの一言で、この一言を、彼は一度も口に出せなかった。一度目は、仕事帰りにこの通りへ戻ってきたときだった。手にパンの袋を提げていた。あの人は段に腰を下ろして金を数えていて、途中まで数えては、また最初から数え直していた。彼は口を開いた。続いて出てきたのは一つの数だった。代替品が元のあの一本より、いくら安かったか。二度目、あの人はシャッターにもたれて一枚の紙を見ていた。紙の字は、二歩離れた彼には読めなかった。風が強く、その紙は吹かれて裏返り、また表に返った。彼の手は胸に押し当てられ、ちょうどあの認識票の上にあった。彼はまた口を開いた。続いて出てきたのはその数の半分だった。その半分がどこで浮いたのかを、もう考え始めていたからだ。三度目、あの人は通りの角まで歩き、赤信号の前で止まって待っていた。彼はすべての数を最初の一筆から最後の一筆まで足し合わせた。足し終えると、あの一言はなくなっていた。残ったのは一つの勘定だけだった。

彼は歩み寄らなかった。理由は具体的で、一つずつ数え上げることができた。通りを渡るには車道を一本横切らねばならず、赤信号が点いている。渡ったら、口を開かねばならない。口を開けばあの一言を言うことになり、あの一言を言えば、あの人は必ず、何に署名したのかと訊く。あの数は口元まで来ていて、ひとたび出れば、あの一言はまた一つの勘定に変わる。

彼は二つの物を掌の中で合わせ、指を一本ずつ閉じていった。左の前腕の上の指揮環が半周回った。彼の手より遅く回り、半周遅れて止まった。輪の上で暖かいのは、細い線が一本だけだった。

今夜も、彼は同じく払わなかった。

海面が先に明るくなった。

灯りではない。海面の下に何かがあって、水を下から上へ透かして照らし、一枚ずつ灰白に染めていた。埠頭の石が照らされ、石の隙間の水も明るくなった。明るいのは色ではなく、ただの光だった。港の波はこの一撃で色を抜き取られ、波頭はまだ動いていたが、動いているのは灰色だった。水の上に船はなかった。波が埠頭の下を打つ音はくぐもっていて、一度打ち、長く間を置いて、また一度打った。光が立ち上がってから、その音は一拍止まり、それから続いた。

祭壇は港の向こう側、リバティ島にあった。星形の古い壁が平地を囲み、平地の石の面には一周の裂け目が開いていた。石は灰白で、隙間に細い草が生え、数字の光に照らされて一本ずつ白くなっていた。裂け目から緑と赤の数字が湧き出て、一マスずつ交互に上へ跳び、一本の垂直な光の柱に沿ってまっすぐ上っていった。光の柱は夜の雲を貫き、雲の向こうに何があるのかは見えなかった。

彼の頭の上の一列の値札が止まった。通りの角のシャッターの脇に掛かっていた一列も止まった。さっきまでそれらはずっと揺れていて、扉の隙間から風が入れば揺れていたのに、今は一斉に向きを変え、海の方角へ、一枚また一枚と、同じ一本の糸に引かれたように向いていた。

通りの向かいの排気口は、まだ白い湯気を吐いていた。老兵は湯気の脇に、こちらに背を向けて立ち、片手でポケットを押さえていた。地面の水たまりが一度明るくなり、また暗くなった。彼は顔を上げなかった。

彼は伝票を畳んで、ズボンのポケットに押し込んだ。ポケットは浅く、伝票の角が外に出ていたので、指で一度押し、底まで押し込んだ。ネジはまだ掌の中にあった。

彼は棚の端から歩き出し、戸口のマットを越えた。マットは濡れていた。扉の外の空気は冷たく、海水の塩の匂いを帯びて、通りの奥からひとしきりずつ吹いてきた。扉に鈴はなく、バネが一本あるだけで、扉が閉まるとき二度はね、二度目は一度目より軽かった。段の上の帆布の鞄は口が開いていて、請求書の紙が段の上に散らばり、風が過ぎるたびに一枚めくれた。彼は拾いに行かなかった。

この通りの突き当たりが埠頭だった。埠頭の係船柱は鉄で、一本ずつ、同じ間隔で並んでいた。彼は埠頭に沿って光の柱のほうへ歩いた。石の面は灰色で、一枚ずつ後ろへ退いていった。彼は歩数を数えた。四十歩まで数えたとき、石の面の色が灰色から黒に変わった。湿気が染み込んだのだった。柱に掛かるロープは何度も擦れていて、どの柱の頂にも一周の光る所があった。通りの両側の建物はどれも灰色で、窓は一枚ずつ黒く、ただ向かいの二階の一枚だけが明るかった。明るいのはテレビで、音はなく、画面の中の人はずっと喋っていた。胸のあの認識票が鎖骨に当たって、一度ずつ音を立てた。

彼は一度、顔を上げた。西の空にあの円が掛かっていて、残っているのは一弯だけだった。明るい側はとても細く、縁は淡い紫で、明るい面には白い雲があり、動かなかった。暗い大きな部分には砕けた光があり、一片また一片と、それは別の都市の夜の灯りだった。円のそば、円より少し高い所に、黒い口が開いていた。口の縁に細い白い輪が一本あった。輪の外の星はねじ曲げられていて、とてもゆっくりと曲がっていた。彼は一目見て、顔を下げた。

認識票は空白だった。入隊した年に支給されたときから空白だった。刻字の申請書は提出した。承認は下りてこなかった。のちに彼は机の上で数多くの承認に署名し、どの承認もまず彼の手を通ったが、自分のあの一枚を催促することはなかった。本来なら字が刻まれるはずの面は、彼の親指に何度も何度も擦られ、もう片方の面より光っていた。触れてみると、二つの面の手触りは違った。光る面は滑らかで、くすんだ面はざらついていた。

背後の空気が裂けた。

一本の裂け目で、中に石段が覗いていた。一段ずつ下へ並び、切れ目は一歩分の幅があった。石の面にはごく細い筋があり、一段ずつ下へ続いて、筋はどれも同じ方向を向いていた。回廊には風がなく、音もなかった。石段の縁は冷たい光で、一段ずつ下へ続き、底は見えなかった。彼が振り返ると、まず一歩目が石の面に落ちる音がして、続いて二歩目が聞こえた。

明月(みつき)が先に出てきた。左目の下の三日月形の刻み痕が光り出し、目尻から頬骨まで明るくなった。青藍(せいらん)だった。直刀に鞘はなく、刀身には青藍の光が一筋あり、柄の紐の結びは桜色だった。彼女は石の面に降り立ち、左肩のあの広袖を振り払って、また収めた。彼女は彼を一目見た。一目だけ見て、視線を引き戻し、海の上に落とした。左目の下の刻み痕はまだ光っていて、頬骨まで光って止まり、それより下へは進まなかった。

青鸞(チンルアン)が二番目だった。彼女はうつむいて自分の掌を見て、それから裏返して手の甲を見た。紋様は手の甲にあった。右耳の後ろの声の輪が一環ずつ鎖骨まで光り、墨青(ぼくせい)の披帛(ひはく)が肩から滑り落ちた。末端は砕けて光の粒になり、下へは落ちず、上へ上っていった。背の一対の光の羽は閉じていなかった。青緑だった。

ジェウォンが三番目だった。右耳の折れた銀のマイク型のピアスは、折れ口から電光の紫の芯を覗かせていた。彼はピアスの折れ口を海に向け、少し頭を傾けた。それが光の中でどう見えるかを見ているようだった。白い靴の爪先は毛羽立っていた。彼が入ってくるその一歩は拍より半拍遅れていた。いつもと同じだった。上着の背の影の柄はさらに半拍遅れて、ようやく追いついた。

スワンが最後だった。白い羽片の硬い襟が、うなじの上に一層ずつ立っていた。左足はサテンのトウシューズ、右足は履き古したスニーカーで、爪先のあの穴はまだあった。彼女はうつむいて左足のリボンを一目見た。切れ口のささくれが立ち上がり、また倒れた。彼女が手を上げると、手首に六角形の鱗が一枚浮かんだ。玉白金で、一度光って、収まった。左足は石の面から離れず、右足のスニーカーが石を踏み、靴底の溝が灰白の跡を一つ押しつけた。

明月が直刀を胸の前に横たえた。刀の背の光が刀身に沿って下へ流れ、鍔まで流れて、消えた。

五人が初めて一列に並んだ。明月がいちばん左、アンドリューがいちばん右、真ん中が青鸞、ジェウォン、スワンだった。彼らは海に向かっていた。五本の影が石の面に落ち、長さはまちまちで、縁はどれも淡かった。

ほかの四人は、誰も相手の名前を呼ばなかった。立ち位置が決まると、それぞれうつむいて自分の足を一目見て、それから顔を上げた。吐く息は白く、冷たい空気の中ですぐに散った。ジェウォンの右足が左足のほうへ半寸寄り、また止まって、寄り切らなかった。

誰も話さなかった。

風が埠頭の向こう端から来て、五人の髪を吹いた。誰も払わなかった。

彼は数えた。この癖は点呼のときに身についたものだった。あの年、隊長は隊列の前に立ち、手に一枚の板を持っていた。板の上の名前は鉛筆で書かれ、雨に浸かって、字によっては消して書き直されていた。一度、板が泥の中に落ちたが、隊長は拾いに行かず、そのまま名前を読み上げ、読まれた者はそのまま答えた。あの年の冬、名簿から一行減ることが時々あった。隊長はその行まで来ると一度止まり、一字だけ言った。空。それから下へ読み続けた。隊長は左から右へ数え、数えた人数は板の上の名簿と合わなければならず、合わなければもう一度数えた。まだ夜が明けておらず、人はきちんと整列し、吐く息がひと筋ずつ立った。彼は三列目に立っていて、自分まで数えると一度止まり、隊長が自分の名前を読むのを待って、一字答えた。はい。彼は人を数え、足も数えた。

五人の靴の擦り減り方は、全部で七種類あった。スワン一人で二種類を占めていた。左足のリボンは一度切れていて、右足のスニーカーは爪先に穴が開いていた。ジェウォンも二種類で、白い靴の爪先が毛羽立ち、左足の踵の外側が片側だけ平らに擦れていた。明月の右足の爪先は左足より一段低く、着地の重心はいつも右足にかかっていた。青鸞のゴム底の靴は、前底が一か所平らに擦れていた。彼の軍靴は、外側の踵が一か所薄くなっていた。

光の柱の頂から、一本の手が垂れてきた。

これほど離れていると、その手は輪郭でしかなかった。指を開き、数字の流れの中から下へ伸びて、ゆっくりと落ちてきた。自由仮面が数字の流れの中から祭壇の中央に降り立った。降りてくる高さは、前回とまったく同じだった。指の関節の曲がる角度まで同じだった。爪先が先に、祭壇の真ん中の一本の刻線に乗った。刻線から一寸も外れていなかった。石は鳴らず、細い草の一本さえ倒れなかった。降り立ってから、身にまとった数字の流れが一層ずつ引いていった。肩まで引き、松明の尾まで引き、最後には一本の細い緑の線だけが光の柱とつながっていた。関節の隙間に掛かった白い紙の値札が、一枚ずつ、一度光った。

顔は銅錆の緑の仮面だった。これほど離れていると、それに目があるのかどうかも、どこを見ているのかも分からなかった。その正面は埠頭に、五人の立っている方向に向けられていて、一度たりとも向きを変えなかった。

彼はミサイルの形をした松明を高く掲げた。炎の位置にあるのは、跳ねる緑と赤の数字の流れだった。数字は一マスずつ下へ落ち、祭壇の石の面に落ちると消えた。彼はブロードウェイのカーテンコール風の静止の決めポーズを取った。片手を頭の上に掲げ、もう片方の手を胸に当て、頭を見えない客席のほうへわずかに傾ける。胸に当てたその手は、指の関節が決まった角度に曲がったまま、ずっと動かなかった。

半秒の絶対の静止。埃は元の位置に止まり、海面のあの薄い霧さえ止まった。

アンドリューが口を開いた。祭壇に向かって、声は高くなかった。彼は決して声を張り上げない。四人とも聞こえていた。彼の足は動かず、踵が石の面に押しつけられ、いつもより重かった。彼の親指は服越しにあの認識票を押さえ、認識票の縁の鈍い欠けに触れていた。

彼は心の中で先に一度数えた。上海、東京、ソウル、パリ。上海のあの一座は青鸞の、東京のあの一座は明月の、ソウルのあの一座はジェウォンの、パリのあの一座はスワンのものだった。四座、どれもすでに解かれていた。これが五座目。数え終えてから、彼は口を開いた。

「塔はもう四つ。これが最後の一つだ。」

言い終えると、彼の息継ぎはとても長く引かれ、それからようやく一息吸った。

祭壇の側からの声には、こだまがなかった。それはまっすぐ耳に落ち、言い終わればもうなかった。彼は名詞を一つずつ重く置き、どの名詞も拍の上に置いて、正確に押さえた。

「自由は最高の商売だ。」

彼は松明を下へ一度押した。

一周の制御の波紋が押し出された。海面は帳簿のように平らなマス目に押しつけられ、一マスずつ、祭壇から埠頭まで敷かれた。マス目の線は明るく、線が明るくなるとき、海の底のあの灰色の一層も一緒に一度明るくなり、また暗くなった。水面のすべての波頭はそれに押し下げられ、一枚の平らに押しつけられた。彼は声を大きくしなかった。口調は四半期報告を読み上げているようだった。

「民主は最も高価な商品だ。買えない者は、静かに列に並んでいただきたい。」

波紋が埠頭まで押し寄せたとき、五人は同時に後ろへ下がった。明月の左足が先に地を踏みとどめ、刀は動かなかった。スワンが手を上げ、手首の鱗が一度光って、波紋の一部を遮った。残りは彼女を後ろへ押した。青鸞の披帛は押し平らにされて背に貼りつき、末端の光の粒が一段沈んだ。ジェウォンは一歩退き、影の柄は半拍遅れて、ようやく一緒に退いた。アンドリューの左膝が先に一度鳴った。くぐもった、古い音だった。彼は一歩退いて止まった。ほかの者より半拍遅れていた。右手が胸まで上がり、また落ちて、あの空白の認識票の上に落ちた。

石の面に五本の短い痕が残った。痕の縁は揃っていて、定規で引いたようだった。痕の中に値札の影が浮かび、白く、一枚ずつ、浮かび上がっては沈んだ。アンドリューのあの一本は右足の前にあり、爪先から指一本分離れていた。彼はうつむいて見なかった。それがどれほどの長さか、彼には分かっていた。

彼の背後に巨大な貨幣のホログラムが立ち上がった。ホログラムは灰白で、一列また一列の数字が並び、紙幣の縁が一枚ずつめくれていった。紙幣の上の人物の像は、顔がどれも磨り消されて、楕円だけが残っていた。ホログラムの縁にはごく細い線が一列あり、どの線も一つの価格につながっていて、剪影が一つ変わるたびに、価格が一マス跳んだ。紙幣の縁には小さな字が一列印刷されていたが、字が小さすぎて読めず、彼は見ようとしなかった。ホログラムの光が五人の顔に落ちた。白く、一人に一つの顔だった。ホログラムの奥にいくつかの剪影が過ぎった。一つの兜、一区切りの崩れた壁、一本の旗の竿、何かを掲げた人の列。二つの人影が並んで立ち、一人は高く一人は低く、足もとは同じ一本の線だった。地名もなく、年代もなかった。剪影は一度光ると次に変わり、何番目かまで変わると、一度止まった。

アンドリューの耳の中で先に鳴ったのは、数だった。

一つの声が数えていた。一、二、三、四。どこまで数えると、そこの剪影が一度光った。数えているのは人だった。十七まで数えたとき、声が一度つかえ、また数え続けた。たくさんまで数えても、声は止まらず、はい、と答える者もいなかった。彼の唇が一度動いた。声は出なかった。

彼はわずかに身をかがめた。見えない観客に礼をするようだった。関節の隙間の値札がざっと一度鳴り、紙のように砕けた。

視線が祭壇の方向から下へ退き、海面の高さまで退いていった。海はマス目に押しつけられ、灰色で、一マスずつ、とても平らに押さえられていた。