終章・星軌の彼方
第47章ほかの方角
另外几个方向
中国語の原文からの翻訳です。

青鸞(チンルアン)は回廊の光の柱を、一本ずつ数えた。
光の柱はもともとそこにあった。初めてこの道を下りてきたときから、それらは石段の上に立っていた。細く、白く、一本が指一本ぶんの幅しかなく、石の面からまっすぐ上へ、見えなくなるところまで立っていた。石段の面は冷たかったが、光の柱の根元には温度がなかった。彼女は掌を一本目のそばにかざしたが、掌には何も感じなかった。石の面は乾いていて、湿り気は少しもなかった。以前は誰もそれを数えなかった。今度は青鸞が数えた。
一本目は彼女の足もとにあった。彼女はしゃがんでいて、光は彼女の膝のそばから立ちのぼり、ずっと上へ続いていた。膝が石の面を押さえ、冷たさが石の面から染みてきた。二本目は明月(みつき)の靴のそばにあり、彼女の左足の爪先に寄り添っていた。三本目はジェウォンのもので、彼の踵の真下に立っていた。彼の光はまだ掲げられていて、二つの光は触れ合わなかった。四本目はスワンのスニーカーの横にあった。右の足首のテープはとうにすっかり剥がされていた。光は靴の縁のすぐ脇を抜けていき、靴には触れなかった。五本目はアンドリューの軍靴のそばにあり、石段の縁から指半分しか離れておらず、いちばん外側だった。
数えるあいだ、彼女は声を出さなかった。五本目まで数えると、目がその一本の根元で止まり、少し止まってから、戻ってきた。五本とも白く、どれも細く、どれも彼ら自身の足もとに立っていた。一人に一本。誰も、ほかの者の光の中には立っていなかった。
五本はすべて、彼ら自身の足もとで光っていた。
青鸞の披帛(ひはく)は肩から垂れていて、末端にはもう光の粒がなく、布の重さだけが残っていた。彼女はそれを払おうとしなかった。
明月は彼女の左に立ち、彼女と同じ方向を見ていた。「あの何本かは、わたしたちのじゃない。」彼女は言った。声は下へ沈み、石の面まで沈んで止まった。
では、切れ目の向こう側は。
切れ目の向こう側、石段が闇に沈んでいくところで、光が灯った。新しいものだった。それらには立つ段がなく、ただそのまま闇の中に立っていた。一本、また一本。ひどく離れていて、ほとんど見えないほど細かった。青鸞が六本目まで数えても、まだ灯っていた。七本目がそれに続いて灯った。全部で何本あるのか、彼女には数えきれなかった。はっきり見えたのは、どれも白く、どれも平らに光っていて、揺れているものが一本もないことだけだった。
その何本かの光の下に、人が立っているのは見えなかった。
あの何本かは、誰のものなのか。
彼女はその言葉を胸にしまった。切れ目の向こうからは誰も応えなかった。彼女は手を切れ目の縁まで伸ばし、掌を下に向けたが、何にも触れなかった。向こうには風もなく、石もなかった。ごく薄い冷たさが一層、闇の中から上へ滲んでくるだけだった。
切れ目の闇の中から、白い光がわずかに透けて上がってきた。灯ったばかりのあの何本かが照らし上げているもので、ごく淡く、彼らの足までは届かなかった。石の面の筋は切れ目の縁まで続いていて、筋はどれも同じ方向を向いていた。
彼らが切れ目の前にどれだけ立っていたのか、誰も数えなかった。石段の縁は冷たく、冷たさは靴底から上がって膝まで行き、また戻っていった。切れ目の向こうの光は一本ずつ灯っていった。灯るときに音はなく、ただ石の面が一度かすかに鳴った。ごく短く。
アンドリューは数えなかった。彼は爪先を切れ目の縁につけ、あの何本かの光のあいだの距離を見た。距離はどれも同じだった。遠さが揃い、細さが揃っていた。彼は爪先を引き、口には出さなかった。石段はこういうふうには敷かれていない。石段は一段ずつ人に踏まれてできたもので、一段ごとに違っている。
その方角から返ってきたのは、圧力ではなかった。
音の波でも、震えでもなく、石の面の下で何かが動いているのでもなかった。名前だった。
圧力は下から押し上げてくるもので、まず両耳がふさがり、それから一気に抜ける。これは違った。それはとても遠いところから一層ずつ降りてきて、どの層も平らで、耳がよける必要さえないほど平らだった。
一つ、また一つ。名前を読み上げる声が、あの何本かの光の下から出てきた。とても遠く、部屋もなく、反響もなく、じかに耳に落ちてきた。声は平らで、高くもなく、低くもなく、一字一字の角が同じ丸さに削られていた。青鸞は首を傾け、耳を切れ目の側へ向けた。声は彼女の右耳の後ろ、あの輪のある位置に落ちてきた。一つ、また一つ。わかる字もあれば、わからない字もあった。けれど、どれも一人の人間の名前だった。一つ読み終えると、少し止まり、次を読む。止まる長さは前のと同じだった。一つも漏れなかった。
ある名前は、前の字はわかったが、後ろの字はわからなかった。わかったほうの字を、どこかで見たことがあった。どこだったかは思い出せなかった。
番号も一緒に読み上げられた。〇〇三一。〇〇三二。〇〇三三。番号は一つずつ先へ進み、一つも飛ばされなかった。彼女は胸の中でそれについて数えた。百まで数えても、まだつながっていた。百まで読まれたとき、彼女はこの列がどれほど長いのかを考えはじめた。終わりは見えなかった。切れ目の向こうの闇の中で、光はまだ一本ずつ灯っていた。
〇一三一のそれが、はっきり聞き取れた。「〇一三一。」少し止まる。名前は二字で、彼女にも数えられた。「左の眉の上に白い筋が一本、背が高い、上着は灰色、三つ目の交差点に立っている。」少し止まる。「朝六時十分から六時二十五分。」少し止まる。それからようやく次の番号が来た。
二字の名前もあれば、三字の名前もあり、四字のものが一つあった。最後の字の語尾は引き延ばされていたが、引き延ばす長さはほかと少しも変わらなかった。
彼女は止まる時間を数えた。三まで数えると、次の名前が来た。毎回三で、四だったことは一度もなかった。
明月の喉が一度動いたが、声は出なかった。番号が一つ読まれるたびに、カードラックの一マスがかじられる音が聞こえた。かじる音はとても短かった。一マスは十五分で、穴がどのマスに打たれれば、そのマスの時刻が、その時刻になる。彼女はそのマスを数えず、ただ指先を刀の柄の結び目に押し当てていた。
また一つ。「〇一三二。」少し止まる。名前は三字。「右手に魔法瓶を一つ提げ、横断歩道の手前に立っている。待っているのは信号だ。」少し止まる。「朝七時二分から七時十分。」
その方角がどこへ通じているのか、彼女は知らなかったし、教えてくれた者もいなかった。わかっているのは、名前の一つ一つの後ろに、ある場所が一つあり、そこを歩いていく人が一人いる、ということだけだった。
一つ一つが同じ重さで、間隔は等しかった。
名前を読み上げている者がどこにいるのか、彼女は知らなかった。名前の後ろで応える者はいなかった。けれど、どの名前の後ろにも、一人の人間がいた。
「読み方が揃いすぎてる。」スワンが言った。歯音はとてもきれいで、毛羽一つないほどきれいだった。彼女は振り返らず、トウシューズを石の面にもう少ししっかりと押しつけた。サテンの下から石の筋が一本ずつ透けてきて、彼女はその一本一本を踏みしめることができた。
「一つも漏らしていない。」アンドリューが言った。短く言い、言い終えると、息の間が長かった。
青鸞のあの夜の読み上げよりも、はっきりしていた。
あの夜、和諧殿で、彼女は一字ずつ読み上げ、一字ごとに輪が一つ灯った。最後まで読み終えるころには、喉が一段かすれていた。この声には、かすれたところがなかった。どの字も同じ高さに置かれ、最初の一字から最後の一字まで、高さは一度も変わらなかった。
彼女は、自分があのとき消したものが何だったかを思い出した。一人の人間の名前だった。字を消したとき、幕の上を細い光が一筋かすめた。誰かが定規でマスの上に一本線を引いたようだった。この声は消さなかった。読み上げ、一つ読み終えると、その人を光の中に置き、線は引かず、しまいもしなかった。
最初におかしいと聞き取ったのは、ジェウォンだった。
彼は五人の中でいちばん遅い一人で、拍子より半拍遅れる。練習室にいたころから、ずっとそうだった。今度は、聞き取るのが遅れなかった。最初に聞き取ったのは彼だった。
その読み方には、息継ぎがなかった。
人が名前を読み上げれば、十人目あたりで、必ず一度は息を継ぐ。どれほどかすかでも、胸が一度動き、唇が一度閉じ、次の名前の前に隙間が一つできる。その声は三十人目まで読んでも、息継ぎの隙間がなかった。五十人目まで読んでも、まだなかった。胸は上下せず、喉は締まらず、どの字も同じ一息から出てきて、その一息には継ぎ直す気配がなかった。
彼は練習室の鏡を思い出した。鏡の中の人間は、一度も半拍遅れたことがなかった。彼はずっと遅れていた。何年も遅れてきた。遅れたその分は彼自身のもので、それを埋め合わせようと思ったことはなかった。
ジェウォンは胸の中で拍を数えた。一、二、三。その声の三つ目の字は、もう三拍目に落ちていた。彼の三拍目は、まだ途中だった。何度も数えたが、どの回もそうだった。拍子の紋様は光っていたが、さっきより遅く光っていて、自分でも見てとれるほど遅かった。膝もそれにつられて一度動いた。練習室でのあの、ごく小さな一度だった。
「息継ぎがない。」ジェウォンが言った。
言い終えたとき、声は光より半拍遅れていた。光はまだ掲げられていて、光の輪の中では塵一粒動いていなかった。石の面の筋は一本ずつ光っていて、曲がっているものは一本もなかった。ピアスの折れ口の紫の芯は光っておらず、折れ口はあちら側を向いていた。
彼は振り向いて、青鸞を一度見た。青鸞も彼を一度見た。二人とも何も言わなかった。彼がうつむくのは半拍遅れ、彼女がうつむくのも遅れた。ただ、遅れ方が少なかった。
ジェウォンの光は、それ以上高く掲げられなかった。そこに止まって、彼の足を照らし、切れ目の縁も照らしていた。
青鸞は顔を上げ、地球の夜の面をしばらく見ていた。
同じ時刻、地球の向こう側。
九つの建物のうち、東京のそれで、夜明けが近いころ、大展望台の一つ下の階に、ひとマスの灯りがついたのが見えた。
東京タワーの塔身にある文字盤は見えなかったし、文字盤の針も見えなかった。以前、あの文字盤の時刻はどれも同じで、一面も違わなかった。それを彼女は覚えていた。一マスは十五分だ。
塔の足もとの四角い基部も見えず、シャッターも見えず、まして展望台のガラス扉の内側に貼られた当番表など見えなかった。見えたのは一マスずつの灯りで、まだ明けない夜の中に、きちんと並んでいた。そのマスはまず一度、ごくかすかに瞬き、それから白くなった。そのマスの光は、そのマス自身の区画だけで灯っていた。ほかのマスは暗いままで、整然と暗く、少しでも明るいマスも、少しでも暗いマスもなかった。
彼女はこの灯り方を知っていた。誰かが順番に打刻しているのなら、灯りは一階ずつ上へ灯っていき、どの階まで灯ったかで、その階の時刻がその時刻になる。今度、見えたのは一マスだけだった。
ほかの八つの建物の窓は、どれも暗かった。それらの頂はとうに見えるようになっていて、頂には灯りがあり、アンテナがあり、人の取りつけた避雷針があった。九つの建物の空は、どれも一か所が空いていた。
彼女に見えたところでは、そのマスはひとりでに灯ったのだった。
塔が目覚めたのではない、と彼女は思った。誰かが中で一度押したのだ。ごく普通に押したのだ。それが誰なのかは見えず、どこに立っているのかも見えなかった。
通りの向かいのバス停の標識は見えず、その下に人がいるかどうかも見えなかった。
車のライトが一つ、通りを移っていくのが見えた。止まらなかった。東京の空は一か所が空いていて、何も掛かっていなかった。
あの仕組みは死んでいない、と彼女は思った。
場所を変え、新しいことも覚えたのだろう、と彼女は推し量った。
あの何本かの光の下で名前を読み上げているものと、東京のあの一マスの灯りは、同じ仕組みだ、と彼女は思った。あの灯り方を彼女は知っていた。それはもう一つの塔の中にはいない。あの何本かの光の中にいる。どこかの配電室の壁にも、一枚の当番表の上にもいるのだろう、と彼女は推し量った。
以前、それは消していた。自分があのとき消したのが一人の人間の名前だったことを、彼女は覚えていた。字を消したとき、幕の上を細い光が一筋かすめた。誰かが定規でマスの上に一本線を引いたようだった。消す前に、名前はまず一冊の登記簿に書き込まれ、一行ずつ、一度読み上げられてから、線を引かれるのだろう、と彼女は推し量った。登記簿の後半には線を引かれた一行があって、とても強く引かれていて、線の下の字はまだ読み取れるのだろう。壁の紙もおそらく同じだ。見出しは同じで、番号だけが残り、一枚ずつ先へ進み、壁の端まで進むころには、名前はもうない。
今はもう消さない、と彼女は思った。それが読み上げているのが聞こえた。
読み上げるとき、名前の一つ一つの後ろに番号が一つついた。番号の後ろには顔が一つついた。眉がどんな形か、左の口角にほくろがあるかないか、何色の上着を着ているか、どの交差点に立っているか、彼女にははっきり聞き取れた。それを頼りに見分けられる顔だった。顔の後ろには時間がひとまとまりついていた。何時から何時まで。以前の東京タワーの文字盤の時刻と同じで、誰が顔を上げても見えるのだろう、と彼女は推し量った。カードにも名前がついたのだろう。どの一枚も左上に番号があり、番号の後ろに一人の人間がいる。
地球の夜の面で、ほかの都市の灯りはどれも点いていた。一面また一面と広がり、線につながっているのは道だった。あのマスのほうを見ている人がいるのかどうかは、見えなかった。
それは、なぜ読み上げるのかを言わなかった。彼女は長いあいだ聞いていたが、それが理由を口にするのは聞こえなかった。一つ読み終えると、少し止まり、次を読む。番号に重複はなかった。胸の中で数えてみたが、どれも一度しか出てこなかった。それは人を一マスの中に置き、誰からも見えるようにして、それから次を読むのだ、と彼女は思った。
和諧殿で、弾幕が押し開かれたあの円い穴を、彼女は覚えていた。円く、縁は毛羽立ち、裂け口は白かった。彼女があの言葉を口にしたときに押し開かれたものだ。誰かがその穴に触れてみて、指の腹が白くなるまで触れて、裂いて中を見ようとしたのだろう、と彼女は推し量った。彼女は長いあいだ見ていたが、あの何本かの光には穴が見つからなかった。読み上げられた一人ひとりが光の中に置かれ、取りこぼされた者を一人も数えられなかった。
顔は見分けられる、と彼女は思った。人はどこへ行っても見分けられる。ほかの者がその顔を頼りに探せば、見つけられる。
青鸞はそういう顔を見たことがあった。和諧殿で、宙に浮かぶ一枚の札の、左上が一枚の写真だった。眼鏡をかけ、顎を二、三度引いた、職場の社員証のあの一枚。あのとき、その下の字ははっきり見えなかった。
青鸞は周素蘭(チョウ・スーラン)のことを思い出した。その名前は清掃詰所の入口で、煙草を吸っていた人の口から聞いたものだった。三字だけで、ほかには何もなかった。その三字を、彼女はずっと覚えていた。
周素蘭は毎日四時十分に清掃詰所に来て、箒を斜めの切り口を上にして、四つ目のフックに掛ける。こうしたことは一度もリストに載ったことがなかった。以前のあの仕組みは、それを消せなかった。だから、それはずっとそこにあった。
東京のあの建物の中のリストは見えなかった。そこでも番号は一行ずつ先へ進み、線を引かれた行は一つもなく、最後のページはまだ空白なのだろう、と彼女は推し量った。
あの一マスの灯りはまだ点いていて、暗く戻らなかった。誰かが押し戻しに行くのは見えなかった。
「誰が先に下りる。」明月が言った。語尾が沈み、誰も受けなかった。
切れ目の前の五人は、それぞれ一度ずつ動いた。向こうへ渡ると言う者はいなかった。
スワンは左腕を下ろした。手首の鱗はすっかり収まっていて、皮膚に浅い跡が一周押されていたが、何度か息をするうちに薄れた。右足はまだ石の面に立っていて、スニーカーの底が筋を一本押さえたまま、動かなかった。左足のサテンが石の筋に擦れて白い跡が一本ついたが、彼女は拭わなかった。動きはとてもゆっくりで、礼儀正しいほどゆっくりで、誰かが先に言い終えるのを待っていた。彼女はパリのあの窓口を思い出した。窓口の向こうの人は顔を上げず、手にペンを一本持ち、発行欄に四角い印を一つ押した。印面には字がなかった。その一押しの音はとても重く、とても短かった。
明月の親指が鍔に掛かり、押し込み、離れた。鍔は冷たく、指の腹にごく浅い白い跡が一本残り、何度か息をするあいだに消えた。左目の下の三日月形の刻み痕が一度光り、目尻から頬骨まで光って、また暗く戻った。刀に鞘はなく、刀の背が右の前腕に沿っていて、道中一度も持ち替えていなかった。彼女は会社のカードラックの前の、あの一列のカードを思い出した。カードの四辺はどれも揃っていて、穴だけが毛羽立っていた。その穴がどのマスに打たれるべきかは考えなかった。彼女自身の一枚はまだカードラックに差さっていて、退勤のマスは空いていた。
ジェウォンは両手の甲の拍子の紋様を押さえて消し、一拍置いて、また灯した。電光の紫が灯ったのは、彼の手より半拍遅れていた。膝の内側の古傷が一度突っ張った。彼は重心を左脚へ移し、移しきってから、光をもう一度掲げた。ピアスが頬に触れていて、折れ口には冷たい光がわずかにあった。
アンドリューは胸の認識票をシャツの中から引き出した。鎖は鎖骨に沿っていて、一部が人差し指に一巻き巻きついていた。彼は認識票を裏返し、裏面を一度見た。やはり空白だった。裏面にも字はなく、番号もなく、刻み跡一つなかった。彼は何も言わず、それを表に返し、シャツの中へ戻して、鎖骨に沿わせた。この札には溶接の跡もなく、字もなかった。それは胸を押さえていた。長いあいだ押さえていて、彼がもうその重さを測らなくなるほど長かった。
青鸞は口を開きかけたが、まず声は出さなかった。
彼女の覚醒の紋様が最も内側の輪から光りはじめ、二つ目の輪まで光って、止まった。それ以上外へは光らせなかった。
彼女は切れ目の向こうの闇を一度見た。闇の中に光が一本あった。細く、白く、段のないところに立っていた。
彼女はまだしゃがんでいた。指で切れ目のこちら側の石をつかみ、爪で一本目を刻んだ。横に一本、とても短く、深さは揃っていなかった。三十一段目のあの一本とほぼ同じ長さだった。刻み終えると、爪を石の面から離し、その一本を見た。
向こうの人が何という名前なのか、彼女は知らなかった。先に、その人のために段を一つ残しておいた。
あの何本かの光の下では、名前がまだ読み上げられていた。止まりもせず、少しも速くならなかった。
五人はその方角へ、最初の一歩を踏み出した。
明月が先に動いた。右足を半寸前へずらし、爪先が切れ目の縁に落ちたが、越えなかった。刀の背が右の前腕に沿っていて、冷たかった。スワンは半拍遅れてついてきた。トウシューズが先に下り、スニーカーが後に下りた。「ちょっと見るだけ。見るのは渡ったうちに入らない。」スワンが言った。振り返らず、トウシューズはまだ石の面にあって、持ち上がらなかった。ジェウォンは一度息を継いだ。ごくかすかで、胸が一度動いただけだった。光を低くして自分の足の前を照らし、光の輪はさっきより一回り狭くなった。アンドリューの踵が最後に下りた。音はなく、目はまだあの横の一本を見ていた。彼は爪先でその一歩を測った。こちら側から切れ目の縁まで、前のどの一本のときよりも狭かった。測るまでもなく、次の一本はもっと狭くなるとわかるほど狭かった。青鸞は膝に手をついて立ち上がり、手をあの横の一本から引いた。彼女が立っているのは最後の一段で、縁は明るく、最近敷かれたばかりだった。
切れ目の縁は、まだ磨り減って丸くなっていなかった。その一続きは明るく、彼女の爪先は触れなかった。
青鸞は振り返って一度見た。三十一、四十四、五十七、七十、八十三。あの横の線はどれもまだそこにあり、誰も補っておらず、誰もその上にもう一画刻んでもいなかった。切れ目の縁からはまだ欠片が落ちていた。一粒、二粒、闇の中へ落ち、音はしなかった。彼女はもうしゃがまなかった。
五人は最後の数段にひしめいて、肩と肩がすぐ近くにあった。
切れ目は彼らの足の前にあった。狭く、底は黒く、足音さえ返ってこなかった。
誰もそれを越えなかった。
アンドリューは認識票の鎖を整え、鎖骨に沿わせた。
東京のあの一マスの灯りは、まだ点いていた。
あの夜、彼女は塔に向かって、もう一言言っていた。その言葉はこうだった。
「彼らが塔を建てたのは、空に触れるためだ。わたしたちが登るのは、人を外に出すためだ。」