第五部・自由の値札
第28章割り切れない帳簿
这本账不让他算清
中国語の原文からの翻訳です。

自由仮面が五本の指を閉じると、祭壇の上のあらゆるものが彼のほうへ滑り始めた。ブイまでもが内側へ向かってぴんと張った。
先に動いたのは補給箱だった。全部で十二個、島の仮設小屋にあった在庫で、もとは祭壇の外周に積まれていた。きちんと積まれ、箱の角と箱の角が向き合っていた。箱の底が石の面に白い跡を引き、十二本の白い跡はすべて中央へ向かった。箱どうしがぶつかり、鈍い音がした。ぶつかり終えると、また引っぱられて前へ進んだ。石の隙間の緑の数字も倒れ、一マスずつ上へ跳ね、半分まで跳ねたところで吸い下ろされた。元の場所に落ち戻ったマスは一つもなかった。
港湾のブイは係留索につながれていた。係留索は水面から張り上がり、どれも引いたばかりの糸のようにまっすぐだった。ブイは水面から指一本ぶん離れ、また落ち、また引き上げられた。水面から離れる高さは毎回同じで、一度、また一度、数えられたものだった。
人の身体の光も動いていた。肩から、手の甲から、胸のあの認識票の縁から、それぞれ一筋ずつ、ほとんど見えないほど細い光が、祭壇の方向へ抜き取られていった。アンドリューがうつむくと、自分の手の甲のその一筋が指の節から引き出され、まっすぐに張って、祭壇の中央まで伸びているのが見えた。ほかの人たちの身体のその数筋も、同じように張っていた。
自由仮面は祭壇の中央に立ち、つま先をあの刻線の上に置いていた。一寸の狂いもなかった。彼は動かなかった。手は身体の脇に垂れ、指の節は決まった角度に曲がっていた。彼自身の関節の継ぎ目にある値札さえ内側へ張り、何枚かは引っ込んで骨の節に貼りついた。見えない糸にゆっくり巻き戻されるように。
「これらは、すべて他人が私に代わって支払ったものだ。」
自由仮面の声は、祭壇のほうからまっすぐ耳に落ちてきた。落ちて、こだまはなかった。彼は一字一字をとても重く押さえ、名詞の上に押しつけた。読み上げているのは、一行の数字の合計だった。
青鸞(チンルアン)の披帛がまっすぐに引っぱられた。長い布は彼女の肩から祭壇へ一直線に引かれ、布の上の光の粒が一つずつ剥がれて、トーチのほうへ飛んでいった。彼女の身体は一寸前へ傾き、ゴム底が石の面できゅっと鳴った。最初の光の粒が離れたとき、彼女は披帛の端を見下ろして言った。「それが、わたしたちの光を食べている。」
彼女は手を伸ばしてつかんだ。指を閉じると、中は空だった。二つ目の光の粒が飛び去り、彼女はまた手を伸ばした。やはり空だった。二度手を伸ばしてつかみ、つかめたのは空気だけだった。
五人は引きずられて港湾全体を越えた。足もとは平らに押しならされた海面で、格子の線が光り、線の下の水は灰白色だった。踏んでも沈まなかった。大股で歩く者はいなかった。格子のほうが引き戻されていて、一マスずつ靴底の下から抜かれていくのだった。島の縁まで抜かれると、格子の線は石の上で途切れ、人は引きずられて、星形の古い城壁の切れ目から中へ入った。ジェウォンの白い靴が石の面に灰色の跡を一本引き、つま先の毛羽が一部すり減って平らになった。スワンの左足のサテンのトウシューズは、つま先が地面から離れなかった。右足のスニーカーは一歩ずつ前へずれ、靴底の模様がいくつか灰白色の跡を押した。明月(みつき)の刀は動かず、刀の背が右の前腕に沿っていた。彼女の踵が石の面にごく短い線を一本引き、引き終えると、また止まった。アンドリューの左膝が先に一度鳴った。くぐもった、古い音だった。彼は脚を曲げなかった。曲げれば、まずそれが鳴る。右手のハンマーは前へ引かれて沈み、ハンマーの頭の鋼の梁が祭壇のほうへ傾いた。柄が掌の中で半寸まわり、彼は握って、ねじり戻した。
隊形は崩れた。五人はもう一列に並んでおらず、ひと塊に引き寄せられ、互いのあいだは一歩もなかった。島の縁の埠頭の係船柱はすべて前へ傾き、柱の頭の磨かれて光る一周が祭壇を向いていた。とてもきれいに光っていた。
祭壇は星形の古い城壁の内側にあった。石の面は灰白色で、隙間に細い草が生えていた。あの光の柱は平地の中央からまっすぐに昇り、夜の雲を突き抜けていた。雲の向こうには何も見えなかった。風が四方から中央へ吹き込み、一人一人の襟に、袖口に吹き込み、また光の柱に吸われていった。とても速く吸われ、ひと息も留まらなかった。アンドリューの上着の一角がめくれ上がり、また引き戻されて背中に貼りつき、布の下の肌が何度か張りつめた。
自由仮面がトーチを横に一周振った。
トーチはミサイルの形をしていて、尾部に緑と赤の数字を一連なり引いていた。数字は尾の炎から剥がれ、祭壇の上空で何重かの輪を描いた。輪はまわるほど密になり、中が見えないほど密になって、灰色の、回転するものだけが残った。それが軍需の旋風だった。中のものはどれも同じ大きさで、同じ丸い頭をしていて、尖りも刃もなかった。一つ一つの底に数字が一つ刷られていた。風の中に新しい紙のにおいがあった。淡く、嗅ぐとすぐ散った。それらは祭壇のまわりをまわり、ある高さまでまわると、いきなり何群かに分かれて下へ覆いかぶさってきた。落ちてくる音は鈍かった。一度、また一度。遠くで誰かが一列の空の鉄の樽を叩いているようだった。
自由仮面の肩にはまだ数字の流れが掛かっていた。数字は下へ沈み、腰のあたりまで沈むと、動かなくなった。彼は振り向かなかった。顔は緑青色の仮面だった。これほど離れていると、それに目があるのかどうかは見分けられなかった。彼の足もとに影はなかった。光の柱の根は彼の足もとから昇り、石の面は一周明るくなっていたが、彼の立っている場所は空だった。
第一陣が押し寄せたとき、スワンはもういちばん前に立っていた。彼女が左の手首を上げると、手首の平たい環が翻り、真珠色の白金の六角形の鱗が一層ずつ広がって、一枚の盾になった。盾の面はとても薄く、向こうの石が透けて見えるほどだった。第一波がぶつかると、鱗は一枚ずつ砕け、破片が翻りながら落ちて、石の隙間に落ち、隙間の細い草がひとかたまり押し倒された。一本の細い草が破片に押されて折れ、折れ口は白かった。白い羽片の硬い襟はまっすぐに立っていた。彼女の足は退かず、右足のスニーカーが破片を踏み、もう一度踏んだ。
彼女は言った。「ごめんなさい、この一回は譲らない。」声は平らで、歯音はとてもきれいだった。
明月は弾体より半拍遅れた。彼女は人の隙間から割り込んできて、アンドリューのそばへ移った。直刀は斜めに前腕に沿い、切っ先は下を向いていた。彼女はアンドリューを見ず、目はずっとトーチに向けていた。左肩の真っ白な広い袖が風をはらみ、一度ふくらんで、また貼りついた。第二波が来たとき、彼女は刀を振るった。刀身の光の帯が横ざまに斬りつけ、弾体にぶつかった。光の帯は衝撃で途切れ途切れになり、一区切り明るく、一区切り消え、消えた区切りは一拍おいてから、ようやくまた灯った。彼女の刀が一度落ちるたびに、光の帯は一度止まり、切っ先で止まってから、また刃に沿って戻っていった。彼女は止まらず、もう一太刀斬った。左目の下の三日月形の刻み痕が頬骨まで明るくなり、止まった。
制裁令が落ちてきたとき、ほとんど音はなかった。
五つの判決の輪が上から押し込んできた。輪の口はとても薄く、白く、縁にごく細い字が一列並んでいた。字が小さすぎて、アンドリューに読み取れたのは一字だけだった。「値」だった。五つは同時に押し下りてきた。速さは同じで、一つ一つがちょうど、一人一人がさっき取り返したばかりのあの技に嵌まった。落ちてくるとき、どれもごく細い響きを一周まとっていた。金属線がぴんと張られるときの響きだった。響き終えると、輪の口は人の身体に貼りついた。きつく貼りつき、隙間はなかった。
アンドリューは一度数えた。一、二、三、四、五。人を数え、輪も数えた。この習慣は点呼のときに身についたものだった。数えたものは名簿と合わなければならず、合わなければ数え直す。
一つ目は、止まった指揮環に嵌まった。左の前腕の上のその環は半周まわったところで、止まった。止まった位置がおかしく、環の上の細い線が一か所に引っかかって、ぴくりとも動かなかった。止まってからは、その環は少し平たくなったように見えた。上から誰かに押さえつけられたように。指揮環が止まったその瞬間、アンドリューの左腕が沈み、前腕全体がそれにつれて一度垂れ下がった。
二つ目は、声の出ない喉を締めつけた。青鸞の声の輪は一つずつ光り、三つ目まで光って、止まった。彼女は口を開いた。口の形は正しかったが、その一声は出てこなかった。手はまだ披帛の端を握りしめていて、光の粒が指の隙間から漏れていった。とてもゆっくり漏れ、漏れきっても、指は閉じたままだった。披帛は垂れ下がり、ただの布になった。肩に掛かっている一区切りにだけ、まだ一筋の光が去らずに残っていた。
三つ目は、平たい環へ縮み戻ろうとしている手首に嵌まった。スワンの左手首の鱗は翻ろうとしたとたんに引き戻され、平たい白金の環に収まって、手首の骨に貼りつき、きつく押さえられた。彼女は左足のリボンを一度見た。切れ口は下を向き、サテンの面のささくれは押されて平らになっていた。彼女は自分の手首は見なかった。視線は前に、トーチに落ちていて、唇を一度結んだ。
四つ目で、破暁(はぎょう)の直刀は鞘に押さえ込まれ、出られなくなった。明月の切っ先が前腕から離れたとたん、光の輪が押し下りてきて、刀をまた押し戻した。彼女の前腕のあの鞘の中へ。彼女に鞘はない。彼女の鞘は、自分の前腕だった。刀身の一筋の光の帯が一度閃き、消えた。
五つ目で、折れたマイク型のピアスの紫の芯が消えた。ジェウォンの右耳の電光の紫の一点が一度閃き、消えた。折れ口のところは暗く、銀色の折れた端が一区切り残っているだけだった。折れた端の縁はとても鈍かった。ジェウォンの影の柄は半拍遅れて、ようやく彼の身体について揺れた。ジェウォンの右手はまだ動いていて、指が一度弾いた。それは拍子だったが、音は出てこなかった。
光の輪が閉じると同時に、一人一人の身体に白い値札が一枚ずつ留められた。値札はとても軽く、肩に、手首に、胸に落ちた。アンドリューの胸の認識票の上にも落ち、ちょうど何も刻まれていない空白を覆った。どの値札にも数字が一つ刷られていて、数字のうしろに小さな記号が一つあった。誰のものもそうだった。数字は跳ね終わっておらず、札の面で一マスずつ上へ進み、ある位置まで進むと一度止まり、また進んだ。
値札が肩に載っているとき、それはとても軽かった。軽すぎて、何も押さえていないと思えるほどだった。けれど肩が下へ沈んで、はじめてわかった。それが押さえているのは一つの数なのだと。誰も手を伸ばして外そうとしなかった。誰もがうつむき、自分の身体のその一枚を見ていた。長いあいだ見ていた。
祭壇の縁の数字盤が一マス跳ね、また跳ね戻った。跳ね戻った数は、跳ねる前と合わなかった。足りない一桁を、誰も補わなかった。
五人はまだ息をしていた。吐く息は白く、口を出たとたんに風の中で散った。
一息つきたければ、まず払わなければならない。払える者はいなかった。
誰かがまっすぐ立とうとして、膝が先に曲がった。明月だった。左膝を石の面につき、身体を押し上げ、半分まで押し上げて、また曲がった。刀は胸の前に横たわり、刀身の光の帯が一区切りずつ消えていった。
自由仮面の手が上がり、トーチを握った。トーチの尾の炎が一気に短く縮み、数字はもう外へ跳ね出さず、尾部で一マスずつ光るだけになった。彼の関節の継ぎ目で値札が一枚ぶつかり、ごく小さな紙の音を立てた。彼は祭壇の中央に立っていて、声はそこからまっすぐ落ちてきた。「立ち上がりたいか? まず支払え。」
アンドリューは自分の止まった指揮環を見つめていた。環の上の細い線は半周のところで止まり、動こうとしなかった。彼は左手を引き戻し、指を一本ずつ握り込んだ。掌に一本のネジが当たっていた。
M6。義足の接続部から外されたあの午後、診療所の入口で、老兵はそれを彼の掌に置き、一言だけ言った。「持っておけ。」
彼は薬局の角を思い出した。冷たい白の灯り、壁際でうなりを上げる冷蔵ケース。棚は突き当たりまで続き、どのマスの薬の箱にも手書きの小さなラベルが貼られていた。棚の上には値札が一列掛かっていて、どの数字のうしろにも小さな記号が一つあった。レジの後ろには誰もおらず、カウンターの上に帳面が一冊伏せてあり、その脇にペンが一本押さえられていた。入口のマットは濡れていて、外の風が扉の隙間から入り、値札はぶつかり合ってはまた離れた。老兵は棚の向こうの端に立ち、薬を一箱手に取って、回して側面を見た。見終えると、とても軽く置いた。元に戻し、ラベルを外に向け、隣の数箱と揃えた。右脚が下りて、義足の接続部が床に当たり、一度鳴った。彼は振り返らなかった。アンドリューは棚の反対側の端に立っていて、両手は空だった。彼のあの一箱も、同じように戻されたのだった。位置を揃えて。
今夜、二人とも払わなかった。
あの人が階段にしゃがんで金を数えるのを、彼は見たことがあった。三度数え、三度とも数が違い、あの人は顔を上げもしなかった。その日、彼はパンの入った袋を一つ提げて、通りの向かいに立ち、道路越しに見ていた。あの人の指は広げられ、一枚ずつ数えていた。とてもゆっくり数えていた。
あの伝票のことも、彼は覚えていた。代替品の購入伝票で、紙は薄く、表の頭に「代替品購入」の数文字が印刷されていた。署名して通したのは、代わりの脚一本だった。その一本は一本の管と、一つの接続部と、一つの足で、下へ押しつけることしかできない。安いほうの種類で、伝票には安価と書かれていた。署名したとき、彼はそれを知っていた。承認の欄は彼の名前で、筆圧は上のどの字よりも重く、墨が紙の裏まで透けて、小さな点がいくつか浮いていた。あのペンは彼が自分で持っていったもので、キャップを一度なくしたことがあり、テープをひと巻き巻いていて、巻いたところがほかより太かった。老兵の名前は一つ上の行に書かれていた。彼は一字ずつ見ていき、どの字も正しかった。署名し終えると、ペンの軸が机の端まで転がった。彼は手を伸ばして押さえ、二度押さえて、ようやく止まった。表の右上には日付が印刷されていた。ごく普通の数で、彼は覚えようとしなかった。窓の外は雨で、雨は斜めに降り、何本かの水の筋がガラスを伝って下り、窓枠のところで途切れた。
その後、彼はあの建物に一度行った。五階建てで、エレベーターはなく、階段は一階分が十二段。建物の入口に郵便受けが一列あった。彼は数えた。全部で十二の区画があり、四つは蓋が開いていた。階段の脇にチョークで描かれたマス目があり、踏まれて灰色の線が何本か残っているだけだった。彼はしゃがんで見はしなかった。建物の下に立ち、顔を上げて窓を数え、灯りの点いている一つまで数えて、止まった。建物の扉は鉄で、ガラスには以前紙が一枚貼られていた。紙は剥がされ、テープの跡が一周残っているだけだった。彼は扉を押さなかった。風が扉の隙間から漏れ出してきて、湿気を帯びていた。彼は街灯が点くまで立っていて、向きを変えて去った。
彼が勘定できないのではない。この帳簿は、はじめから彼に勘定させるつもりがなかったのだ。この一文が彼の中で形を成した。とてもゆっくりと。ゆっくりすぎて、手のほうが先に動いた。
彼は自由のハンマーを握っていた手を離した。
ハンマーは彼のものだった。頭は送電塔の鋼の梁の一区切りで、取り外して鋳直したものだった。切断面の溶接の継ぎ目はまだ残っていて、触ると硬かった。柄は鋼で、それがどんな温度なのか、彼は考えたことがなかった。長く握っていたので、掌のたこが柄に押しつけられ、一つの形ができていた。このハンマーを、彼は長いあいだ握ってきた。振り下ろすたびに、力は彼自身のものだった。人に奪われたとき、手を離したことはあった。物が落ち、彼は腰をかがめて拾った。自分から置くのは、これが初めてだった。ハンマーは下へ落ち、石の面に当たって一度鳴った。石の面に白い跡が一本残った。跡の縁はとても揃っていた。定規を当てて押したような揃い方だった。彼は拾わなかった。
彼の右手は空いていた。彼はそれを差し出した。掌を上に向け、隣の明月へ。掌には何もなく、汗があるだけだった。汗は光の柱の白の中で光らなかった。
明月は手を返してその手を握った。
彼女は彼の手を見下ろさなかった。視線はまだトーチにあり、指だけが彼の手の中で一度動いた。彼女の指は彼の指のあいだに差し込まれ、組み、きつく組み、それから半分ゆるめた。ちょうど力を受けられるところまでゆるめた。彼女の手は冷たく、乾いていて、指の節には刀の柄で擦れてできた硬い皮があった。力は掌から一直線にまっすぐ入ってきた。少しも余分がなく、握ったら、もう動かなかった。彼女の指の腹が彼の親指の付け根を押さえていた。重くは押さえない。試したことのある力だった。
彼は口を開いた。声はとても低く、息継ぎが長く引かれていた。
「彼が勘定できないんじゃない。この帳簿が、彼に勘定させないんだ。」
ジェウォンの声が横から来た。拍子より半拍遅れていた。
「あいつらは技を封じられても、この手は封じられない。」
三人はもうそれぞれに技を出すのではなく、力を手渡し、ほかの者が手渡してくる力も受け止めた。
ジェウォンが口を開き、高い音を一つ出した。その高さには彼の喉は届かない。彼の声は真ん中の一区切りまでしか届かず、明るく、やや薄かった。ジェウォンの喉仏が一度動き、声は胸から出てきた。口より少し遅れて。こめかみの汗が顎を伝って下り、襟元まで来て消えた。この一声は借りたものだった。披帛の光の帯が青鸞の肩から引かれ、アンドリューの手首まで伸びて、音を支えていた。音は帯に沿って切り込み、握られたその手を通り、明月の直刀へ押し上げられた。直刀は押されて上へ持ち上がり、前腕のあの鞘から滑り出て、切っ先が天を向いた。石の隙間の細い草がすべて立ち上がり、その一声につれて一度震え、また倒れた。
アンドリューには、一つ一つの力の重さが分けられた。ジェウォンのあの一声はとても軽かったが、手首を通るときには熱かった。熱く、硬く、拍子より半拍遅れてようやく掌に届いた。青鸞の披帛の端は彼の手首の外側に掛かっていて、光は散らばり、つかめず、糸一本ぶんの重さしかなかった。明月の手は冷たく、力はまっすぐで、一本の線を進んだ。左手は湿っていて、掌のネジが汗で貼りついていた。右手では、三つのものが手首の上で一度触れ合った。ぶつかったのではない。ずれていた。半拍ずれて、それぞれまた進んでいった。ネジのねじ山は左の掌に押しつけられ、手のひらの筋に食い込んで、白い輪をいくつか刻んでいた。彼にはそれが数えられた。
明月が身をひるがえした。直刀が鞘から出ると、彼女は向き直り、一太刀で、スワンの右の足首に巻きついていた赤いテープの一区切りを斬り開いた。そのテープは祭壇の石の隙間から引き上げられたもので、石の面の引く力にずっと引きずられ、一周巻きついて、靴の胴まで、足首まで巻き上がっていた。刃はとても軽く、足首の肌には触れなかった。触れたのはテープだけだった。その一太刀に音はなく、ただごく細い、かすめる音が一度だけあった。石の面に耳をつけなければ聞こえないほど細かった。刀が靴の胴の上を過ぎ、テープは二つに切れて弾け、石の面に落ちた。二つのテープはまだ足首の形を保っていて、真ん中は空だった。スワンの右足が石の面で半寸引かれ、スニーカーのつま先のあの穴がのぞいた。穴の中は灰白色の石の粉だった。
ジェウォンが身を横にして、アンドリューの代わりに押し寄せる弾幕を受けた。弾体が彼の肩に、背中に当たり、上着の背の影の柄は半拍遅れて、ようやく彼の身体について前へ貼りついた。当たったところは白くなり、白い跡はゆっくり淡くなった。彼はさすらなかった。退かなかった。同じ一秒、スワンの左手首はまだ閉じたままで、あの一周の白金の環は開いていなかった。けれど石の隙間には、彼女が先に砕いた鱗がまだあった。六角形が一枚、二枚と翻り上がり、横から伸びてきて、何枚かがアンドリューの前で支えになった。それは第一波で砕けたもので、判決はそれらを技として定めたことがなかった。翻り上がった鱗が石の隙間の埃を舞い上げ、埃はアンドリューの軍靴に落ちた。アンドリューの靴の外側の踵は一か所すり減って薄くなっていて、埃はその上に落ち、留まった。鱗は冷たかった。明月の手よりも冷たく、ほとんど重さがないほど薄かった。それらが弾体にぶつかると、磁器のかけらどうしがぶつかるような音がした。
判決の輪はまだ押さえつけていた。それらが探しているのはあの技だったが、見つけたのは別のものだった。明月の刀は彼女の手にあり、アンドリューの手は握られていて、ジェウォンのあの一声はまだ上へ昇り、光の帯に沿って青鸞の肩へ戻り、また彼女の肩から一つ一つの手へ散っていった。光の輪にはそれが見分けられなかった。輪はまだまわっていた。とてもゆっくりまわり、最後の一拍を数え終えた。
一つ目の輪が弾けたとき、音はとても軽かった。細い糸が一本切れるような音だった。二つ目は青鸞の喉もとから裂け、裂け目から白い光が少し漏れた。光はとても薄く、つかめないほど薄かった。三つ目はスワンの手首の骨のまわりをまわり、半分まわったところで、止まった。四つ目は明月の刀の背に押しつけられ、止まり、また一角が弾けた。五つ目はジェウォンの折れた端のまわりを一周ずつ締めつけ、ある所まで締めつけて、ひとりでにゆるんだ。一つ弾けるたびに、祭壇の縁の数字盤が一マス跳ね、跳ね戻り、合わなかった。
アンドリューの指揮環は彼の左腕の上にあり、細い線のその端が、ようやく一マス動いた。
判決の輪は一人一人自身の技は見分けられても、借りた力は見分けられず、一つずつ弾けた。