第五部・自由の値札
第29章生まれたときからの体温
生下来就带着的体温
中国語の原文からの翻訳です。

彼は立ち上がり、初めてハンマーを大きく振り回した。ハンマーの頭が、貨幣のホログラムの台座を打った。
一歩戻る。ハンマーは石の面から引きずり上げられたものだった。ハンマーの頭はあの白い跡を押さえていて、跡の縁の灰が持ち上がり、一度舞って、また落ちた。彼は腰を曲げたが、膝は曲げなかった。だから左の膝は鳴らなかった。左手でハンマーの柄を握った。掌にはまだあのネジが食い込んでいて、ネジ山は掌の筋に押し込まれ、さらに少し深く食い込んだ。柄は鋼で、握った瞬間は冷たかったが、しばらく握っていると、彼の掌の温度になった。
ハンマーの頭の重さは、まず彼の左肩に落ち、肩から腰へ、右足の踵へと落ちていった。右足は石の面の上で位置を探し、見つけ、しっかりと踏んだ。石の面には細い草が生えていて、草はハンマーの頭の影に押さえられ、一本ずつ倒れ、また一本ずつ立ち上がった。
彼は身を起こした。肩が先に一度鳴った。カチッと、乾いた音で、左の膝のようなくぐもった音ではなかった。それは一本の釘が引き抜かれる音で、肩甲骨から出て、腕を伝って手首まで行き、手首の筋が一度跳ねた。彼は止まらなかった。
ハンマーの頭は鉄骨一本ほどの重さがあったが、彼は目方を数えなかった。目方は、他人の伝票に書くものだ。ハンマーの頭は肩の高さから上へ進み、頭上を越え、下へ落ちた。落ちる区間は長く、彼はそれを最後まで長いままにした。風が星形の古い壁から吹き込み、彼の袖口に吹き込み、上着を背中に貼りつけたが、彼は引っぱらなかった。
台座は祭壇の縁にあり、彼から三歩のところにある、灰白色の台の輪だった。台の上には紙幣が一束浮かんでいて、一枚一枚がめくれ続け、肖像の顔はすり減って、楕円だけが残っていた。一番上には値札が一枚掛かっていて、彼の掌より大きく、一番高く掛かり、数字が一番速く跳んでいた。ハンマーの頭が台座を打ち、値札は砕けた。鋳直された鉄骨は、切り口が荒く、その紙をまるごと平らに押しつぶし、台座の光の中へ押し込んだ。台座は半尺沈み、光が沈んだ縁に沿ってめくれ上がり、ごく白い縁取りになった。下から鈍い音が上がってきた。引き出しが一つ押し戻されるときのような音だった。
砕ける音は軽かった。紙は大きな音を立てて砕けない。一度、また一度と裂け、何本もの細い切れ端になり、どの切れ端にもまだ数字がつながっていた。それらの数字は光の中を下へ落ち、半分まで落ちると、また一マス上へ跳び、それから動かなくなった。彼はそれらの数字を数えなかった。彼が数えたのは、ハンマーの頭が落ちたあと、石の面に何本の擦り傷が残ったかだった。一本、二本、三本。
ハンマーの音はまだ石の面を転がっていた。祭壇の縁を転がり越え、壁の根元まで転がり、壁際の数字盤が一マス跳んだ。今度は、跳び戻らなかった。
彼の胸は上下していた。一度、また一度、どれも彼自身のものだった。彼は口を開いた。叫ぶのではなく、話した。息継ぎはやはり長く引き延ばされ、一語一語が石の面に落ちた。
「自由は、お前が俺に売ったものじゃない。俺が生まれたときから持っている体温だ。」
声が地に落ちた瞬間、自由仮面の肩当ての継ぎ目にある一枚目の値札の糸が切れた。紙片は一度裏返り、石の面に落ちた。音はなかった。自由仮面は振り向かなかった。その肩当ての継ぎ目には、まだ糸が何本か残っていた。
二枚目の糸は少しゆっくり切れた。三枚目は続けざまに切れた。二本の糸が一緒に切れ、切り口はどちらもごく細く、一目見なければ見えないほど細かった。彼は数えた。一、二、三。十七まで数えると、値札は連なりになった。連なった値札は関節の継ぎ目で互いにぶつかり、ごく軽い紙の音をひと続き立てた。彼はもう数えなかった。
体温という二文字は、彼がその場で思いついたものではなかった。あの年の冬、部隊は外に立って点呼を受けていた。夜はまだ明けておらず、彼は三列目に立っていて、吐く息がひと塊ずつ出ていった。手袋の中の指は、とうに言うことを聞かなくなっていた。寒さが一番ひどいとき、彼は手を脇の下に差し込んだ。そこが、彼の身体でまだ熱を持っている最後の場所だった。身体に何度残っているかは、自分のものだ。この二文字の勘定を、彼はあの冬に覚えた。
宣言は、糸をほどくように先へ進んだ。値札は連なったまま関節の継ぎ目から剥がれ落ち、糸はすべて切れ、紙片が一枚また一枚と落ちてきた。石の面に落ち、彼の靴のそばに落ちた。現れたのは下にあったありふれた金属で、灰色で、外側の色より古かった。
明月(みつき)が彼の手を放した。彼女は手を返し、制裁令が自分の右肩に留めていた一枚を弾き取った。その値札はむき出しの肌に留められていて、留め針は浅く刺さっていただけで、二本の指でひと弾きすれば取れた。そのあとでようやく、彼女は刀を返して彼の身体のものを弾きにいった。刀身が彼の袖口をかすめ、灰を少し舞い上げた。切っ先はトーチの上で止まらず、ただその方向を向いていた。彼女は言った。「わたしの休暇届、今日出す。」
彼女の左の広い袖には紙が一枚押し込まれていて、紙の角が少しのぞいていた。紙には升目が印刷されていて、升目の線は折られて白くなっていた。紙の端には折り目が三本、横に並んでいて、一本目が一番深かった。彼女の左手が袖口を押さえた。布一枚越しに一度押さえ、また放した。ジェウォンはその袖口を見なかった。スワンも見なかった。
ジェウォンは影ステップで下へ潜り、下から値札をひと連なり跳ね上げた。上着の背中に貼りついた影の柄は、技を出すたびに、身体より半拍遅れた。半拍遅れた影が一枚の値札を押さえ、それをもう一瞬だけ掛かったままにさせ、それから彼の手がそれを弾き取った。青鸞(チンルアン)の披帛が横に切り込み、光の帯がひと列を薙ぎ、列の値札がいっせいに糸を断たれた。スワンの盾が開き、六角形の羽鱗が伸びてきて、落ちてくる紙片を受け止め、鱗の面に押さえた。どの一撃も、彼の身体には落ちなかった。彼を傷つけるためではなかった。彼らが弾いたのは、まだ掛かっている値札だけだった。一枚ずつ弾き取り、受け止め、脇へ置いた。
青鸞の披帛が戻ってくるとき、端が手首に二巻き巻きついた。披帛の光の粒は戻ってこず、布の重さだけが残った。彼女はその光の粒をつかもうとしなかった。スワンの鱗は一枚ずつ収まっていき、手首の輪の中へ収まった。収まるとき、どの一枚もまず一度回り、それから貼りついた。
石の面に落ちた値札を、アンドリューは数えた。全部で百三枚。一枚は風に吹かれて台座の下に入り、彼はそれを数えられなかった。胸の、字の刻まれていない認識票の上には、まだ値札が一枚押しつけられていたが、彼は取らなかった。
彼は身をかがめ、一番近くの一枚を拾い上げた。紙はとても薄く、裏は白紙だった。表に返すと、数字はまだ一マスずつ跳んでいて、ある位置まで跳んで、止まった。その数が、彼には読めた。脚一本の値段だった。安いほうの。彼は紙を石の面に戻し、細い草の一本の上に押さえて置き、もう見なかった。
自由仮面が初めて一歩後ろへ下がった。彼の足もとには影がなく、下がったその一歩は、石の面に何も残さなかった。刻線は元の場所にあり、彼のつま先はそこから三寸離れた。
そのとき、トーチが裂けた。トーチはミサイルの形をしていて、尾部に緑と赤の数字の列を引いていた。ひびは真ん中から弾け、四隅へ広がった。一本は細く、一本は太かった。アンドリューは視線をトーチに押し下げ、裂け目の縁まで押し下げた。その縁は新しく、トーチの殻より明るかった。炎の中の数字の流れが断ち切られ、ひと区切りずつ重さを失い、宙に浮いたまま、下へは落ちなかった。裂け目の奥から、ごく細い赤が一筋漏れていた。一筋だけ、殻の内側に沿っていた。
トーチの握りは黒く、溝が何本か入っていて、溝は擦れて光っていた。それを握っている手は、指が閉じられ、指の節が決まった角度に曲がっていた。自由仮面はトーチの後ろに立ち、身体は動かず、トーチだけが動いていた。
トーチを握るその手が、初めて震えた。右手だった。震えると、尾の炎がそれにつれて揺れ、途切れた数字をひと区切り揺らし出した。
ジェウォンはその手を一度見たが、何も訊かなかった。スワンが口を開いた。歯音がとてもきれいだった。「あなたの手が震えています。」ジェウォンの肩が一寸沈み、また上がり、元の高さまで上がった。
自由仮面はその手を見なかった。声が祭壇の方から落ちてきた。こだまはなかった。
「……長いあいだ、握ってきた。」
石の面は鳴らず、壁も鳴らなかった。その言葉は落ちてきて、落ちたところで止まり、外へは出ていかなかった。
自由仮面は残り火を灯し直した。トーチの尾部が一度光り、ごく短い数字の流れがつなぎ直された。その手はまだ震えていた。とても小さく、この距離でなければ見えないほど小さく。アンドリューの右手は身体の横で拳に握られ、拳の中には何もなかった。
沈んだ台座が、ゆっくりと少し戻ってきた。紙幣の束がほどけ、平らに広がり、舞台の床になった。床には細い線が光っていて、一マスが紙幣一枚の縁だった。舞台の縁から、二十四人のホログラムの踊り手が出てきて、一列に並んだ。列の間隔は同じで、歩幅も同じだった。靴底は同じ大きさで、靴紐は同じ長さで、結び方も同じだった。彼らには顔がなく、楕円があるだけだった。紙幣のすり減った顔と同じだった。袖口は白く、縁に縫い目はなく、印刷されたものだった。アンドリューは一度数えた。二十四人。一人も多くなかった。
彼らは歩き始めた。足がいっせいに下り、床の細い線が一度光り、また暗くなった。八歩歩いて、止まった。二拍止まって、また歩いた。床の数字が一マス跳ぶたびに、ちょうど一歩で、一歩も早くなく、一歩も遅くなかった。
トーチが下へひと押しされた。これはブロードウェイの群舞だった。脚は高く蹴り上げられ、腕はいっせいに広げられた。二十四人が同時に脚を上げ、同時に手を上げ、同時に身を翻した。お辞儀をして幕が下りるたびに、足もとで衝撃の輪が一つ弾け、衝撃の輪は床を這って押し出され、五人の足もとまで届いてから散った。幕が一度下りるたびに、床の下から硬貨の音がひと続き上がってきた。一枚、また一枚、正確に数えられていた。二十四人が同時に頭を下げ、同じ角度まで下げ、一拍止まり、また同時に上げた。床の数字は踊り手の足について進み、一度踏むごとに、数字が一マス跳んだ。拍子は寸分の隙もなく、契約書のように揃っていた。
衝撃の輪が通り過ぎると、石の面の細い草はみな一方へ倒れた。草は倒れ、また立ち上がり、立ち上がったとき、どの一本も同じ高さだった。アンドリューの靴が一本の細い草を踏んでいたが、草は折れなかった。彼が靴を持ち上げると、草はまた一度立った。
自由仮面の声が祭壇の方から落ちてきた。「よく見ろ。これが揃うということだ。」
スワンが一歩前に出た。左足のサテンのトウシューズの先が石の面を一度突き、右足のスニーカーが下り、靴底の溝が灰に押し込まれた。彼女の左の手首で、鱗が開き、半分まで開いて止まり、彼女自身が決めるのを待っていた。
彼女は言った。「わたしたちは揃っていません。わたしたちは、まだ生きています。」
その一言はとても丁寧に言われ、一語一語がまっすぐに立っていた。自由仮面は答えなかった。トーチはまだ下へ押しつけられていて、踊り手たちの脚はまだ上がっていた。
五人は拍を合わせにいかなかった。拍を合わせるというのは、向こうの拍子について行くことで、ついて行けば、自分を彼らの契約書の中に勘定してしまうことになる。彼らはリレーに変えた。
同じ一つの動きを、五人が一人一区切りずつ受け継いで、やり終える。
その動きは、踊り手たちがさっきやったものだった。腕が胸の前から広がり、一本の弧を描き、弧の終わりが肩の外側に落ちる。一人目が起こし、二人目が弧の尾を受け止め、三人目が尾を回して外へ出し、四人目が回る勢いを地に落とし、五人目が最後の一拍で収める。五人の立つ位置は違い、力の向きも違い、誰も誰かの代わりにはやらなかった。
青鸞が先に起こした。腕を振り上げ、腕が肩から上がり、披帛が腕に沿って滑り落ちた。端はまだ手首に二巻き巻きついたままだった。彼女はひとつの節を口ずさんだ。節は上へ昇っていき、声の輪が一環ずつ灯り、四つ目の環まで灯って、止まった。腕の弧はまだ半分しか振り出されておらず、彼女の足は元の場所に釘づけになっていた。
彼女の声は中音で、厚く、胸の底に押さえられていた。一音また一音と、節を下から支えて上へ運んでいった。歌詞はなかった。それらの声の輪は彼女の右耳の後ろから鎖骨までつながっていて、どの環も一つ前の環より少し広かった。彼はこの節を聞いたことがなかった。
明月が半拍の中に割り込んで、弧の尾を受け止めた。直刀を斜めにひと引きし、まだ曲がっている途中の弧をまっすぐに引き伸ばした。刃は石の面すれすれを通り、音はしなかった。彼女はほかの誰も見なかった。彼女の刀は弧だけを見ていた。刀身の光の帯がつながった。ゆっくりと、ひと区切りずつつながり、切っ先までつながって、ようやく満ちた。足取りは乱れず、ただ青鸞の着地より一筋遅れた。
左目の下、三日月形の刻み痕が頬骨まで光り、一度光って、また暗く戻った。素白の広い袖に風が入り、一度ふくらみ、また貼りついた。袖の中のあの紙は落ちなかった。
スワンのつま先がひとひねりした。左足のサテンのトウシューズの先が石の面で半回転し、右足のスニーカーがそれについて下り、刀の勢いの余力を、ねじれた一回転に変えた。彼女の身体は外へ一寸傾き、また自分で引き戻された。白い羽片の硬い襟はまっすぐに立っていて、回るとき、襟は動かず、頭だけが少し傾いた。左の手首の鱗が一枚開き、引き戻すとき、その一枚もまた収まった。
サテンのトウシューズの先はとても薄く、回るとき、石の面の灰がひと巡り削り上げられ、彼女の足の甲に落ちた。スニーカーの靴底はそれほど薄くなく、下りると足全体がしっかり押しつけられ、石の面が鈍い音を立てた。二つの足、二通りの下り方。スニーカーのほうが先に止まった。スワンは笑わなかった。口の端が少し下がり、また戻った。
ジェウォンが回転を地面へ運んだ。身を伏せ、手を地につき、身体を石の面に貼りつけて回り、半拍遅れの影ステップにした。背中の影の柄は半拍遅れて、ようやく彼の身体について滑っていった。石の隙間を滑り越え、スワンが残した靴の跡を滑り越えた。右耳の折れたマイク型のピアスは折れ口を外に向けていて、着地するたびに、折れ口が自分の肩に当たり、一度当たって、また離れた。
顎はきつく張りつめ、歯はくいしばったままだった。歌わず、叫ばなかった。ジェウォンは他人の力を受け止め、半拍遅れて、また手渡した。
最後の半拍はアンドリューのものだった。彼はその半拍の中で受け止めた。ハンマーが落ち、石の面を打ち、一つの強拍を打ち出した。ハンマーの頭の白い跡が古い跡に重なり、跡はまた一回り白くなった。石の面が一度震え、震えはハンマーの柄を伝って上がり、左手へ、掌のネジへと伝わった。ネジが一度食い込み、それからもう食い込まなくなった。
アンドリューは一区切りごとの着地点を数えた。しゃがんで測りはしなかった。目で測った。測った数は刻線と合わなければならず、合わなければもう一度測り直した。刻線は刃物で刻まれたもので、両側に少しささくれが立っていて、ささくれは石の面にごく淡い光を一筋残していた。青鸞は刻線の外側三十一センチに着地した。明月のつま先は刻線を押さえていて、ずれていなかった。スワンは刻線の内側十二センチに着地し、自分ではその数を見にいかなかった。ジェウォンは刻線の外側十五センチに着地し、スワンより二十七センチ多かった。靴一つぶんの長さだった。彼は十一センチのところに着地し、ジェウォンより四センチ少なかった。
隣り合う二人の着地点の差は、三十一、十二、二十七、四センチ。同じ区切りは二つとなかった。
彼は心の中でもう一度数えた。数え出したのは、やはりその四つの数だった。
ジェウォンはそれらの数を見なかった。足はまだ最後の位置に止まっていて、身体は前へ傾いたまま、まだ行き着いていなかった。
向こうの寸分の隙もない踊り手の列は、このリレーの線に踏まれて、切れ目を一つ開けられた。二十四人の歩幅は同じなのに、切れ目は真ん中に残り、一列は二つに断たれた。切れ目のところの踊り手たちはまだ元の拍子で脚を上げていて、半分まで上げて止まり、また続けて上げた。
アンドリューは身を起こし、刻線の縁に立って、祭壇の中央に向き合った。胸はまだ上下していたが、彼は押さえつけなかった。一度唾を飲み込み、喉仏が一度動いた。
「この踊りは、あの頃は踊らせてもらえなかった。お前は値段は勘定できても、拍子は勘定できない。」
言い終えると、声は石の面を一巡り転がり、また彼の耳に戻ってきた。それは彼の声で、壁があり、地面があり、祭壇の縁があり、それらが彼の声を受け止めて、彼に返した。向こうの声は落ちてきたら、そこで終わりで、少しも戻ってこなかった。
彼は上着をひと振りした。上着は肘に掛かり、彼が肩を一度揺すると、するりと滑り落ち、石の面に落ちた。中は灰色のTシャツで、襟元はゆるんでいた。
二十歳の年、彼はコンクリートの広場でこの踊りを踊ったことがあった。広場はコミュニティセンターの外にあり、門もなく、チケットもなく、誰でも入れた。だからこそ、取り締まりに来る者に口を開く理由があった。
その日のスピーカーが流していたのはドラムだけの曲で、誰も歌っておらず、ドラムの拍はずっと前へ前へと急いでいた。広場に照明はなく、彼らはコミュニティセンターの入口のあの灯りを借りて踊った。広場の縁には何人かが集まっていて、口笛を吹く者がいて、携帯を掲げて撮る者がいた。彼はうまく踊った。その年で一番うまく踊れた一回だった。書類のあの欄を、彼はのちに多くの場所で目にした。毎回その一文字で、変わったことはなかった。
今日足に履いているのは、彼がのちに自分の金で買ったもので、靴底は彼が歩いて柔らかくし、靴紐は三つ目の穴までしか結んでおらず、ゆるんでいた。
彼は左足を半歩後ろへ引き、ゆるんだ靴紐が石の面を押さえないようにした。靴紐の端が石の面を一度掃き、また彼に踏まれた。きつく結ぶ必要はない。きつく結べばかえって足首が引っかかる。それはこの何年かでようやく覚えたことだった。
彼はしゃがみ、手を地につき、右脚でまるまる一周を掃いた。石の面の灰が掃き払われ、下の灰白色の石が現れた。踵が擦れて、灰白色の細い跡が二本ついた。今度は、彼はこすって消そうとしなかった。
それから彼は床に下りた。トーマスフレア。身体が手の上で回り開き、二本の脚が開いて一つの円になり、一周、また一周と回った。ウインドミル。肩を地につけ、脚が外へ描き出され、頭上を越えていった。最後は片手で支えた止めのヘッドスピン。身体は片手の上で止まり、頭頂を石の面につけて、一回転した。ハンマーは彼の横に横たわり、頭はあの白い跡の縁を押さえていた。石の面の彼の影は欠けていなかった。手、頭、脚、ひとつも欠けていなかった。
汗がこめかみから滑り落ち、耳の縁を伝って、石の面に滴った。石の面の灰の色が小さく一か所だけ濃くなり、すぐにまた乾いた。手は石の面についていた。石の面は冷たく、冷たさが掌から手首まで上ってきた。彼は手を離さなかった。石の隙間の細い草が一本、彼の手に押されて折れた。折れ口は白かった。
左の膝が先に一度鳴った。くぐもった、古い音だった。彼は止まらなかった。
四つ目のエイトカウントまで数え、それを越えた。彼は続けて踊った。五つ目のエイト、六つ目。あの書類を、彼はのちに二度と見なかったが、あの欄の字はずっとそこにあった。
向こうの二十四人は彼についてこようとした。一拍目はついてこられた。二拍目、彼らの脚はまだ上がっているのに、彼はもう下りていた。彼らには半拍ずれた人間について行く手立てがなく、止まって、自分たちの拍子に戻るのを待つしかなかった。トーチが二度下へ押されたが、彼らはやはり止まっているしかなかった。
明月の刀は胸の前に横たえられたまま、動かなかった。息が刀の背に落ちていた。とても軽く、毎回同じ場所に落ちていた。視線は彼の脚について動き、一周をたどり、また一周をたどった。青鸞は最後の一音を口ずさみ終え、披帛は地に垂れ、もう上へは昇らなかった。スワンの左足のサテンのトウシューズの先が、石の面で拍子を取っていた。とても軽く。
左の前腕の上の指揮環が、また回り始めた。最初は速く、半周ぶん速く回り、それから速くなくなって、彼の手と一緒に回った。細い線の向こう端が進んでいき、一周ごとに同じ一点を通り、引っかからなかった。
祭壇の縁の数字盤がまた一マス跳んだ。今度は、誰もそれを見なかった。
ジェウォンが床に下りて、付き添って踊った。ジェウォンの影の柄は半拍遅れていて、ジェウォンの一歩目は彼の重心の真下に落ち、半拍遅れの影の動きで、彼の重心を受け止めた。彼が下へ落ちるとき、ジェウォンの影は半拍遅れてようやく届き、支えた。支えたその一拍で、また彼を押し戻した。
引力の中心は、この二人によって逆向きに回された。吸い取られていた光が、石の隙間に沿っていっせいに逆流し、ほかの三人が立っている方へ流れていった。青鸞、明月、スワン。三人は動かなかった。光は彼女たちの足もとを回り込み、白い輪になり、また収まった。
ホログラムの舞台が一度停電した。床の細い線がすべて消え、一拍消えて、また一マスずつ灯り直った。